社会保険の加入、年金事務所の調査(定時決定(算定)時調査)は、先日ご紹介させていただいた通りですが、
そもそも社会保険のメリットについて、考えてみましょう。
「入らなければいけないもの」というのでは、面白くないですからね。
社会保険は、健康保険と厚生年金のことです。
イメージが湧きにくい人は、保険証と年金手帳を思い浮かべましょう。
時々「社員が、社会保険に加入して手取りが減って困っている」という、お言葉をいただくことがあります。
私は「給与の手取り額が減るのは事実だが、別途、国民健康保険・国民年金を払うより、最終的に手元に残るお金は多いこともある」と説明させていただいております。
上記の通り、社会保険は、健康保険と厚生年金。本日は、厚生年金についてご紹介します。
(ケース1)労働時間の長いパート 給与18万円くらい
自分で国民年金に加入して、保険料を支払うと、月額16,260円です。
会社の社会保険(厚生年金)に加入すると、給与18万円の等級で、天引きされる厚生年金保険料は16,045円。
実は、ほとんど一緒です。
(もちろん、会社の社会保険(厚生年金)は、会社も同額16,045円を支払っています)
将来もらえる年金額は、厚生年金に入っていた方が、国民年金のみより、もらえる金額は多くなります。
(国民年金がベースで、それに上乗せする形で厚生年金の入っていた期間・払った保険料で、もらえる金額が決まります)
このパートさんからすると、同じくらいの金額払うなら、将来もらえる金額が少しでも多い厚生年金の方が良いのは明白です。
このように伝われば、パートさんも「会社は自分のことを考えて、給与以外でも費用負担しているのか」という風に感じてもらえます。
(ケース2)働き盛りの家族持ち社員 給与36万円くらい
この社員の方が男性で結婚していて、奥様は103万円未満の扶養の範囲内でパートをしていると仮定します。
男性が、会社の社会保険(厚生年金)に加入していれば、奥様は国民年金第3号、と言って、奥様の国民年金の保険料は支払不要です。
給与36万円の等級なら、厚生年金保険料は32,090円。奥様の分の保険料は発生しません。
もし男性が、会社の社会保険(厚生年金)に加入していなければ、夫婦とも国民年金に加入することになります。
2人の国民年金保険料は、月額16,260円×2人=32,520円
会社の厚生年金の方が、安いですね。
将来もらえる夫婦の年金額は、
・会社の社会保険(厚生年金)に加入していれば、
国民年金2人分+厚生年金の入っていた期間・払った保険料で金額が上乗せ
・会社の社会保険(厚生年金)に加入していなければ、
国民年金2人分のみ
となります。
こちらも、同じくらいの金額払うなら、将来もらえる金額が少しでも多い厚生年金の方が良いのは明白です。
会社の社会保険に入ったことで、給与の手取りは確かに減ります。
しかし、上記の2つのケースであれば、社会保険に入らずに自分で国民年金払うのと金銭的負担は減らず、そして将来もらえる年金額は増えることになるので、決して悪い話ではありません。