今回も、労働保険料の年度更新についてです。

前回は手続き上の紛らわしいポイントをご紹介しました。

労働保険料の年度更新 紛らわしいポイント

 

今回は、実際の納付額について紛らわしいポイントをご紹介します。

「前年の過不足を精算する仕組みがいつも分からなくなる」

→前年に支払ったものは、平成27年度の仮払い(概算保険料)であり、その実績(確定保険料)が、仮払い(概算保険料)より多ければ、今年(平成28年度)の仮払い(概算保険料)に充てる。逆に少なければ、今年(平成28年度)の仮払い(概算保険料)と一緒に不足分を支払う……

と文字で書いても、なんとも分かりにくいです。単純に2年間だけ見るならまだしも、実際は毎年この過不足の精算があるので、混乱しますね。

 

図に整理しました。

年更納付額

まず、左側の「H26年」を見てみましょう。

H26年は、6月の時点で仮払い額(概算保険料)を申告し、120万円を、7/10までに一括(または3分割)で支払います。

そして、H26年は中途入社の方がいたり、ボーナスがはずんだりしました。

そのため、給与額の累計は増えて、保険料は「給与額の累計×保険料率」のため、保険料も増えることになります。

結果、実績(確定保険料)は、仮払い(概算保険料)より30万円多い、150万円になりました。

 

続いて、真ん中の「H27年」を見てみましょう。

上記、H26年(前年)の実績(確定保険料)を計算し、その実績額がH27年(その年)の仮払い(概算保険料)になります。(150万円)

そして、前年の実績(確定保険料)は、仮払い(概算保険料)より30万円多かったですね。

その30万円分を精算(追加払い)しなければならないため、

H27年(その年)の仮払い(概算保険料)150万円に、その差額30万円に上乗せして支払います。

よって、H27年の納付額は150万円+30万円=180万円になります。

この180万円は、H27年の7/10までに一括(または3分割)で支払います。

単純に、納付額だけで見ると、H26年は120万円、H27年は180万円、と随分増えたと感じてしまいますが、そういった精算が含まれているためです。

 

最後に、右側の「H28年」を見てみましょう。

H27年(前年)の実績(確定保険料)を計算し、H27年は中途退社した方がいたとして、給与額の累計が減り、保険料は「給与額の累計×保険料率」のため、保険料も減ることになります。

結果、実績(確定保険料)は、仮払い(概算保険料)より10万円少ない、140万円になりました。

ここで、上記までの流れて行けば、

H27年(前年)の実績(確定保険料)が、H28年(その年)の仮払い(概算保険料)になりますが、H28年は少しイレギュラーです。

H28年は雇用保険料率が引き下げられました。

「前年の実績(確定保険料)が、その年の仮払い(概算保険料)になる」というのは、

正確には、「前年の給与額の累計」が、その年の仮払い(概算保険料)を計算するための「給与額の累計」に使われる、という意味です。(保険料は「給与額の累計×保険料率」)

よって、H28年は雇用保険料率が下がった分、仮払い(概算保険料)は140万円ではなく、少し減少します。ここでは、120万円としました。

そして、前年の実績(確定保険料)は、仮払い(概算保険料)より10万円少なかったですね。(150万円-140万円)

その10万円分を精算(返してもらう)しなければなりませんが、別途10万円返金してもらうのは手間なので、

H28年(その年)の仮払い(概算保険料)120万円から、その差額10万円を差し引いて支払います。

よって、H28年の納付額は120万円-10万円=110万円になります。

この110万円は、H28年の7/10までに一括(または3分割)で支払います。

 

以上、3年間の納付額だけを見ると、120万円→180万円→110万円、と大きく変動していますが、このような前年との精算の仕組みと、保険料率の改定の仕組みが裏に隠れています。